このブログでよく格ゲーが廃れる原因と、どうやって新規参入者を増やすかの考察をしているのですが、考えてみれば自分たちが格ゲーにあれだけハマっていた全盛期にどんな心情でいたか、そこにヒントがあると思うのでちょっと思い出してみることにしました。
◆はじまりはスト2
スト2がSFCで出た時、自分は小五だった。
誕生日会に誰かがスト2を持ってきて、誕生日会は一変してスト2大会に早変わり。
みんなそこで初めてスト2を知った
最後「夜は花火しにいこーぜ」となっていたのに、スト2に超ハマッたやつらがなかなかテレビ画面から離れようとしない。
そのうち「おい、花火マジいくぞ」っていう仕切り屋と、つうかオレと、その超ハマった3人くらいが口論に。「うるせーな、もういってこいよ」
最初は全然ハマらなかった。
どう動かしていいかわからないから全然興味なくて、色々動かし方は教えてもらったけど何だか緑の獣みたいなヤツが電気ビリビリやってると何しても近寄れず、時間切れ。
こっち色々してるのに相手はチアノーゼなるくらいボタン連打してるだけ。
変な力士みたいなのが真横からつっこんできて主人公のリュウがそれだけで負ける。
『何だよこれ、どうしたらええの』
「あ、これはな、タイミング合わせて正拳突き(遠大パン)したらええねん」
「どすこい!」パンチ!ベゴォ!
『何だよ無理だよこんなの』
「バカ、タイミングあわせないとホラ」
いやいや無理無理。
(※ちなみに今でもスーパー頭突きにそんな迎撃する人はいない。
格ゲーに関して言うと、子どもの頃に試していて難しかったことって結局今でも難しいこと多いんだよね。
餓狼スペで立ち小パンから鳳凰脚出す人がいて強いなんて都市伝説あったけど、今でも超難しいし意味もあんまない。たぶんアレはウソだったんだろう)
ふーん、こんなゲームあるのね、というのがその時の印象だった。
ちなみにこの時はザンギエフと春麗が人気だった。
ザンギエフは何だかデカくて強そうだから、春麗はしゃがみ強キックで転ばされる瞬間のM字開脚がエロいから。みんな子どもだからそうは言えなかったけど、あの人気はそうだったんだと確信してる。
ステージが進んだら出てくる寝仏ステージのハゲが、「アイケー、アイケー」ってビーム出してきて近寄れない。
中国女の必殺技を出せば、必殺技ってぐらいだから何とかなるんだろう。
溜めるってどれぐらい溜めればいいんだ。溜めて溜めて…オラッ!
あれ、変な跳び蹴りしか出ない。
もっと溜めて溜めて…(ラウンドのカウント20秒くらい)
「イチニ!サーンシ!」出た!「アイケー!(ボコッ)」
なんだよ、せっかく出したのに何度出してもアイケーに負けるやないか。指痛いし。
やっぱもういいわ。
しかしオレのファーストインプレッションとは別に、クラスでの人気度合いは半端なく広がっていった。男子でやってない、知らないというヤツはほとんどいなかった。
その頃読んでたコロコロコミックでやたら攻略記事の特集がされるようになった。
親父が、「おい、これ流行ってるらしいな」つってスト2の攻略本買ってきた。
赤い装丁のハードカバーでやけにごっついヤツ。技のひとつひとつに名前があるのか。
ゲーメストムックも買ってきてくれた(もうゲーセンに出てたダッシュのムック)。
何だかスゲエことはわかったけど、まだハマらなかった。
少年野球のチーム内でユニフォーム帽子を円盤投げのように飛ばすヤツらが現れ始めた。
「はめっぷー、はめっぷー」何言ってるんだ。キ○ガイか。
その少年野球の後輩の姉ちゃんで、同級生の女子がよくチームに遊びにきていた。
お菓子とか作ってきてくれる。
超・綺麗で、性格は男勝りだけどすげえタイプ。
その後輩がスト2を持ってる(今みたいにみんな持ってるってわけじゃなかった。SFCのソフトひとつで1万円超もする。)ってことで、みんな野球が終わったらそいつの家に遊びに行っていた。
スト2どうでもいいオレは姉ちゃんが目当て。それだけしかなかった。
野球補欠だったので野球でいいカッコみせらんないし、何とか接点作るっきゃねえ。
しかしスト2でもその子に負けて、いいとこなし。
夏休みに田舎に帰ると、従兄弟の兄ちゃんがゲーセンに連れていってくれた。
「おれは強いぜ」とか言ってた兄ちゃんを「レバガチャ」で倒す。
確かダッシュのムックに「ベガが強い」と書いてあったから、そいつを使った。
少し楽しくなってきた。俺にはみんなが持ってない「攻略本」がある。
このレバガチャで少し要領を得た。攻撃が当たる間合いまで前を押して歩いてボタンを押せば何か当たる。
なぜかケンを使うようになっていた。歩いて強キック押したらぐるぐる回って相手を端っこに連れてく。
そしたら強攻撃が当たりやすくなる(後ろに下がられない)。しゃがみ強キックが当たったら相手が転ぶから、少し安心できて威力も高い。
やがて「波動拳」ができるようになる。おお、波動拳が二回当たったら相手が気絶する。
離れたら波動拳、相手が近くなったらジャンプ強キックで近寄ってしゃがみ大キック、ネリチャギ、地獄車。
あの娘のところに行く。弟、生意気な後輩の「はめっぷー」に勝てない。しゃがみ強キック連発、飛んだら無言のサマーソルトキック。それズルくね?
「弱いヤツこれだけで勝てるんだ」クソッ!(弟くんは小2)
スト2を人から借りる。この頃は友達とキャンプに行ったりしても頭の中はスト2に汚染されている。ふと口ずさむ曲がガイルステージ「てってれってれー♪(イントロ部分)」
親父がスト2の攻略レーザーディスクを買ってくる。
石井ぜんじという攻略ライターが記録した全ステージパーフェクト勝ちの攻略。
すげえ!
でも今考えてみればただの投げハメだった。スト2のCPUは投げハメが想定外だったのでしゃがみ小パンチ→投げを永遠に喰らう。それを知っていれば誰でも取れるパーフェクトだった。
でもそんなことにも気付かない観察力のない当時の俺。
しかしいま考えると親父はなぜあんなにもスト2を強力に勧めてきたんだろう。
ブランカが強い、ということを従兄弟との対戦で知る。
ジャンプ大パンチを早めに出しても地上のヤツに当たる。ということは、空中ではブランカが強いぞ。(今で言うところの下方向に持続時間が長い)。
そしてかみつきがクソ減る。大足のリーチも長い。
これでだいぶ勝つ。
でも画面端に追い詰めたのにしゃがみ大パンチをガードされたらノックバックしてしまう。
そうなるとこのキャラ弱いな。
「うちのゲームセンターでは中パンチが使用不可になりました。ひどい」という読者投稿。
それに対する編集部の返事が「春麗の歩き中パン連打投げハメが強すぎるせいか?!」
歩き中パン投げハメ!?
なんだそれは…頭の中でイメージして見る。
歩いて、中パン当てて投げ…うわ、強そう!
その日から俺のスト2ライフは一変した。
ピシッピシッ!ヤッ!ピシッ!ヤッ!
うおおークソ勝てる!
ピシッ!ヤッ!
うわははははは!楽勝すぎ!気持ちんヨカー!
もう何も細かいこと考えることあらへんでー(最低)
仲間内のトーナメントとかやってもほとんど俺が優勝する。
くっそーとみんな悔しがりながら「人のプレイスタイルは真似しない」という暗黙のプライドがみんなあり、この投げハメをなぜか取り入れない。
真面目に波動拳昇龍拳しようとしてミスったりタメ時間ミスってサマーソルトが出ない間に元キック(春麗の大足)に転ばされて近寄られて極意発動。十字キー前に押しっぱなしにして中パン連打。ピシッピシッヤッ!
オレはすっかり勘違いした。
オレって格ゲー強い!
続く(需要あれば)