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やーすの回顧録 あの頃格ゲーは燃えていた③

アーケードに大きな憧れを抱きながらもお金や交通手段、対戦相手の強さなど様々なハードルを感じ、主戦場は再びスーファミに移っていった私。

その間に格ゲーブームはみるみる浸透し、二番煎じの格ゲーがらんま二分の一など出ていたが、まだ格ゲーのエッセンスの分析が足りてない。それらが友達の家にあってもやはりスト2大会に放課後はなっていた。

中学生になる頃、スーファミでスト2ターボが出る。ここで一気に僕らの対戦はアダルトなテイストを持ち始めた。キャンセル技の存在についてはチラと見た格ゲーの攻略本で何となくそういうものがあるんだろうな、ぐらいには思っていた。しかしそれは遥か遠いスキルにしか感じなかった。

ところが、スト2はボタン離しでもボタンを押したものと認識される、これを利用して、62大パン押しっぱ、3離しとやると、しゃがみ大パンチ大昇竜が出る、と何かの攻略本で読んだ。

これが試してみると確かに出る。

この頃はしゃが大大昇竜を当てると相手の体力を4割近く減らし、場合によってはピヨるのでもう1セット決めれば試合がほぼ決まる。

これでキャンセルの感覚を掴んだ私はさらに、ボタン連打しながら昇竜出せばもっと簡単に出るんじゃね?と連想、俗に言う大大昇竜はここでマスターした。ハードル高く思えていたのは、今で言うところの大パンを単発ヒット確認して出さないといけないと思い込んでいたからだった。この辺、東京にいるウメハラは大人から口伝で聞いて即使えるようになっていただろう。

しかし九州では、大人さえもキャンセル技を満足に使っていなかった。大航海時代に欧州文明が南米にたどり着いた頃、アステカ帝国は文字の文化が無かったというが、私はこの話を聞いてキャンセル技を知らない九州人のことを思い出した。

しかし、火の発見のようにキャンセルは仲間内で浸透し始めた。ここまでは同じボタンをタイミング押すものだったが、当時買っていたカードダスの裏に「足払いの流れから波動拳を入力する。足払い波動拳の完成だ」などと書かれていた。この情報もかなり大きかった。なるほど。足払い出した後丁寧に236やって出ないと思った。足払いが2を兼ねるのか。

 
 教室で友人が掃除のために机を前に押しやってできたスペースで飛び跳ねていたのを思い出す。「上手い人はこれをよくやってるんだよね!」その動きはジャンプ大キック中足波動拳の動きだった。完璧だ。

これで飛び込み連続技、キャンセル技というスキルセットは完全に揃った。弱波動で飛ばし、大昇竜で落とす。相手が飛び道具合戦に応じたら飛び込みから連続技。

ここで完全に私は有頂天になった。

もう俺に勝てる奴はそうはいない。

ところが。

キャンセル使えないのに全然勝てない奴が現れたのだ。

その男はいわゆる「上り蹴り」を使った。

波動拳で飛ばせて垂直ジャンプ大キックで落とす。

昇竜もキャンセルもいらない。

こいつに勝つにはどうしたらいいのか。 

 

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