若い時、ゲーセンに行く理由は強い友達がいたからだった
ジャイアンとスネ夫
どんなに嫌らしい戦い方の相手に出会ってもジャイアンが反射神経とコマテクを活かし単純な戦法で勝ってくれる
奇跡的にスネ夫の俺が勝つと「ナイスよ」と褒めてくれる
ただただその時間が快楽で格ゲーを続けた
タイトルは本当はなんでも良かった
ただ、KOFはコンボが出来なかったしギルティは連続技覚えるのが面倒だった
ブロッキングで何とかなる、チェーンコンボないからコンボ単純、全員超必殺技は真空コマンドという敷居の低さでスト3をやっていた
しかしやがてその友達は名古屋に就職した
もう褒めてくれる友達はいない
ひどい負け方をしても代わりに勝ってはくれない
ただサードは続けた
ある地方のゲーセンで遂に単独優勝を果たした
ジャイアンがいた時は、おれは一勝ぐらいしか出来ず、あとは全部ジャイアンが勝ってくれる、という完全依存型で大きな大会を勝ったこともあった。いまはひとり
何人かサード仲間は出来かけるんだけど、まぁガチでやる気にはならなかった
2014年になって鉄拳に出会った
というよりあの時のジャイアンを俺は探していたのだと思う
サードにはいなかった
見るからに真面目なこの人は間違いなく格ゲーではジャイアンだろうと、直感で信じて弟子入りしてついて行くことにした
でも最近思うことがある
まだ新ジャイアンと一緒に大会に出られるまで行ってない険しい鉄拳の道だけど
「なぜおれは格ゲーなのだろうか」
別にジャイアンを求めるだけなら、スポーツでも勉強でも何でもいい
しかしこの情熱は格ゲーしか湧いてこない
本当は新ジャイアンをサードに連れ込むつもりだったけど、いや、今でもそれはあるけど、鉄拳がいまは1番面白い
ということはサードしか湧いてこない情熱ではなかった
格ゲーが自分のイグニッションキーだったんだと、20数年格ゲーやってきて今ようやく気付いた
ジャイアンが離れていったからこそわかる、辛くても苦しくて辞めてしまってもすぐに戻ってくる
こんな幸せな趣味を持っている人はあまり世の中にいないかもしれない
本当に好きな物に自覚できないということはままある
ここまでに色んな趣味に手を出してきたが、結局格ゲーだけが残った
「趣味などございますか?」
「はい、格闘ゲームです」
フォーマルな場でもきちんと自信持って答えると意外と興味持ってもらえます